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(大項目10+小項目7)
この通達を発出した法務府民事局長は、戸籍事務を所管する一行政官であり、国籍の与奪や条約の解釈については何の権限ももたないことに留意されたい。
また、この通達は、法務局長および地方法務局長に対する職務命令であり、これをもって個人の重要な法的地位である国籍を変更できるというような性質のものではないことは明らかである。
詳細については、甲13号証「佐藤文明講演録」を参照されたい。
この通達と件名を同じくする、1952年4月19日付け法務府民事甲第438号法務府民事局長通達「平和条約に伴う朝鮮人、台湾人等に関する国籍及び戸籍事務の処理について(通達)」(横浜地方法務局長移牒)を併せて参照されたい。
凡例:〔 〕内は、引用者註
日記戸通達第一九号
昭和二十七年六月四日
横浜地方法務局長 三宅琢磨
管内支局長
市区町村長 御中
〔藤沢市における供覧者職名及び押印省略〕
移牒
昭和二十七年五月二十二日
法務府民事局長 村上朝一
法務局長
地方法務局長 御中
標記の件に関して客月十九日民事甲第四三八号をもつて通達したところ、同通達の運用に当り、平和条約発効の時期について疑義を生じている向があるように見受けられるが、同条約は、客月二十八日午後十時三十分に発効し、従つて、同時刻前に受理した朝鮮人、台湾人等に関する戸籍届出等の処理は、すべて従前通りであるから、誤解のないよう貴管下各支局及び市区町村に周知せしめられたい。
内閣甲第一〇六号
昭和二十七年四月二十八日
内閣官房長官
法務総裁 殿
日本国との平和条約及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約は本月二十八日午后十時三十分に発効する見込であり、発効確定の場合は、その旨内閣告示をもつて告示せられるが、各法令中平和条約又は安全保障条約発効の日から施行する旨の附則の規定のあるものについては、右発効の時刻から施行されるものとして取扱うことゝなつたので、命によつて通知します。
内閣告示第一号
日本国との平和条約及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約は、それぞれ両条約所定の条項により昭和二十七年四月二十八日午後十時三十分(アメリカ合衆国東部標準時で同日午前八時三十分)に効力を生じた。
昭和二十七年四月二十八日
内閣総理大臣 吉田茂
この文書は、藤沢市が保有する次の資料を原典として、htmlファイルに再構成したものです。
掲載にあたり、旧字体は新字体に置き換え、仮名遣いはそのままにしました。
原典は、横浜地方法務局長が1952年6月4日付け日記戸通達第19号で管内の支局長・市区町村長あてに移牒(管轄の異なる他の官庁へ文書で命令・通知すること)した、1952年5月22日付け法務府民事甲第715号法務府民事局長通達「平和条約に伴う朝鮮人、台湾人等に関する国籍及び戸籍事務の処理について(通達)」を、藤沢市が1952年6月12日に収受したものです。